「ミキオサカベ」(坂部三樹郎、シュエジェンファン)は、都内で22年春夏コレクションを行った。会場は新宿区の淀橋教会の礼拝堂。天井が曲面を描き、三角の幾何形状の窓から差し込む光が生命力を持って床を照らす。軽やかな色の響きを感じさせるスタイルのモデルたちが、スクランブル交差点のように行き交う規模感のあるショーを見せた。
テーマは「ミニマリズム」。坂部が挑戦したのは、ワードローブの後ろ身頃を前後対称につないだ新しい見せ方だ。構築的なシルエットで「装飾性を出すのではなく、日常を感じさせるシンプルなデザイン」へと転換した。テーラードジャケットはロールカラーのショート丈プルオーバーに、オーバーショルダーのシャツも同様にロールカラーになる。その下からパステルカラーのシャツをレイヤード。さっそうとしてクリーンな女性像が際立って見える。前後対称とはいっても、肩には緩やかなハリを出すパッドが入り、ジャケットやコートの前身頃は若干のシェイプが入ったシルエット。それをあえて、モデルたちには前後逆に着せてセンターベンツを前に出し、違和感のあるフォルムを強調した。
ボトムは、シャツと色のコントラストを成すタイツやクロップト丈のパンツですっきりと見せる。緊張感のあるテーラードスタイルのなかで、未来に向かって自由に生きる女性一人ひとりの個性やしやなかさを感じる。
(須田渉美)