経済産業省は大手デジタルプラットフォーマーに取引改善策などを促す「デジタルプラットフォーム取引透明化法」の規制対象にデジタル広告分野を加え、10月3日にグーグル、メタ・プラットフォーム(旧フェイスブック)、ヤフーを規制対象事業者に指定した。併せて、広告主や広告を掲載するウェブサイト運営者などデジタル広告を利用する事業者向けの取引相談窓口を委託先の監査法人、トーマツに設置した。デジタル広告分野での大手デジタルプラットフォーマーに対する法規制は「日本が初めて」(日置純子商務情報政策局デジタル取引環境整備室長)という。従来の総合物販オンラインモール、アプリストアとともに、プラットフォーマーと中小事業者を含めた利用事業者の取引環境の改善を目指す。
今回の指定は規制対象業種をデジタル広告を加える法改正を7月に閣議決定し、8月1日に施行したことによるもの。対象事業者の類型は①自社の検索サービスやポータルサイト、SNSなどに主にオークション方式で決定された広告主の広告を掲載する事業者で、国内売上高1000億円以上の「メディア一体型広告デジタルプラットフォーム」②広告主とその広告を掲載するウェブサイトなどの運営者を、主にオークション方式で仲介する事業者で、国内売上高500億円以上の「広告仲介型デジタルプラットフォーム」。グーグルは両類型、メタとヤフーはメディア一体型に指定された。
オンラインモール、アプリストアと同様、今回の指定事業者には利用者に対する取引条件の開示や変更などの事前通知を義務付け、苦情処理を含めた「公正な手続き・体制の整備」、実施した措置とその自己評価の報告書の経産大臣に対する毎年度の提出などを求める。経産省は利用事業者や有識者などで構成するモニタリング会議で報告書を評価し、結果を公表する。運営に問題があった場合は行政が勧告・公表などで改善を促し、独占禁止法違反の可能性がある場合は経産大臣が公正取引委員会に対して同法に基づく対処を要請する。
同法は大手プラットフォーマーのデジタル市場での影響力が強まるなか、プラットフォーマーによる取引先に対する一方的な条件変更や情報提供の不十分さなどが問題化したことを受けて制定。昨年2月に施行し、同年4月に規制対象事業者にオンラインモールでアマゾン、楽天グループ、ヤフー、アプリストアでアップル、グーグルを指定し、運用を開始した。法の運用開始以降、「プラットフォーマーの対応が改善したという利用事業者が多く、成果は出ている」という。