《めてみみ》消費する若者

2017/07/03 04:00 更新


 「若い世代がファッションにお金を使わなくなった」との嘆きを少し前まで、よく聞いた。だが、様子が変わりつつある。地方の個店オーナーに聞くと、最近、大学生など20代前半の客の来店が目立ち始めた。他の消費を我慢してまで比較的高単価なデザイナーブランドを購入する若者もいるようだ。

 40歳前後の個店オーナーらが若い時代、ファッションに夢中になり、服を買いまくった頃と同じ熱量を今の20代にも感じられるという。ネット上に情報があふれ、何でも気軽に購入できる環境が当たり前だから、逆に実店舗でオーナーやスタッフとリアルなコミュニケーションをとることが新鮮なのだろう。

 いまどき個店を立ち上げる若者は珍しい。東京・原宿に今春にオープンしたメンズセレクトショップ「ファン」の森俊輔ディレクターは「ストリートカルチャー発祥の地で再度ファッションの楽しさを伝えられる店にしたい」と濃い品揃えで攻めの姿勢を貫く。実際、周辺の若いショップスタッフなどの来店が多い。

 こうした若い世代は、まだ一部に限られるかもしれないが、しっかりと作り手の思いや商品の生産背景、歴史などをじかに伝える、昔ながらの接客スタイルを支持する客層がいるのも事実。悲観せず、コアな客層を対象にコミュニティーの役割を果たすことが重要なのだろう。



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