《めてみみ》心揺さぶるクチネリの映画

2026/10/29 06:24 更新NEW!


 イタリアのラグジュアリーブランド「ブルネロ・クチネリ」の創業者で会長のブルネロ・クチネリ氏の半生と哲学を描く映画が公開される。

 自身の証言と生い立ちの再現ドラマを織り交ぜながら、人間の尊厳と美の大切さに焦点を当てた。手掛けたのは、『ニュー・シネマ・パラダイス』で知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督。試写会では幾度も心を揺さぶられ、見終わった時には温かく前向きな気持ちになった。

 物語は、イタリアの農村で育ったブルネロ少年の幼少期から始まる。困難はあるものの、にぎやかな大家族と豊かな自然に囲まれて愛情深く育てられた。変化するのは、家族で都会に引っ越してから。暗い工場勤務となった父は上長からの不当な扱いに心を痛めていく。その経験から「人間の尊厳ある働き方」を考えるようになる。

 78年に小さなニット工房を創業し、世界有数のブランドに成長させた。同時に、拠点となる中世の面影が残る村ソロメオを再生させ従業員が文化的な生活を送るための環境を整えてきた。同作ではその原動力の一端を垣間見られる。

 働くことは生きること。どんな仕事であっても、働く環境が快適でなければ精神衛生は安定しない。外の見える窓、明るい空間。円滑なコミュニケーションも大切だ。そうした環境が想像以上のパフォーマンスを生み、企業の発展につながる。



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