フランスの代表食といえばバゲット。中でも伝統パンと呼ばれるバゲットは、長さや重さ、小麦粉・塩・水のみの製法、添加物は禁止という厳格な規格が定められている。
街には「ブーランジェリー」の看板を掲げるパン職人の店がある。生地作りから焼き上げまでの工程を自分の店で一貫して行うことがその条件だ。冷凍生地の使用や、よそから仕入れたパンを焼くだけの店は、ブーランジェリーを名乗れない。スーパーなどと比べれば価格は2倍近くだが、味にこだわる人たちの支持は根強い。
昔の絶対王政の時代、白いパンは上流階級の食べ物であり、一般庶民はライ麦などの黒いパンが主流だった。王制を倒したフランス革命は、誰もが白いパンを食べたいという庶民の要求が大きな背景だったと聞く。実際、革命後は階級を問わず同じパンを食べるという「平等パン」法令もできた。フランス人にとっては、単なる食べ物を超え、歴史の重みに裏打ちされた文化そのものなのだろう。
日本の食料自給率は過去最低の37%、衣料に至っては国産比率が1%強と風前のともしびである。目の前に置かれたパンや服だけを見れば、輸入品も国産品も大きな違いは無い。ただ、国産品は地域社会との関わりの中で生まれ、培われた技術が詰まっている。歴史や文化など、訴えるべきストーリーは国産衣料にもあるはずだ。
