残暑を前提にした秋物MDの見直しが広がっている。ユニクロは数年前から、半袖の夏物に加えて接触冷感機能の長袖Tシャツなど、8~10月の気温が下がらない時期でも客が手を伸ばしたくなる商品を開発、販売することでこの時期の売上高を伸ばしてきた。
無印良品も25年秋物から商品企画と販売計画を見直し、清涼感のあるリヨセルを使った秋の終わりまで長く着られるアイテムを7~9月にかけて投入した。今秋も晩夏向け商品は増やす。
いずれも万人向けのカジュアルが主力のSPA(製造小売業)ゆえの判断と見ていたのだが、日用品でなくファッションとしての服を売るセレクトショップでも、25年を境に残暑対応のMDを強化する動きが目立つようになった。
「秋冬物の新作を8月の店頭に並べてもあまり欲しいと思ってもらえなくなったから」だという。26年秋冬の展示会でも、初秋に売るアイテムとして、薄手の生地を使ったシャツやパンツの提案が増えていた。
ここ数年の猛暑を経て、あるショップは「もう日本に秋はない。高気温の中で着ることにリアリティーが感じられる服を販売する」ことにしたそうだ。江戸時代のしゃれ者は厚着で着ぶくれするのを嫌って冬場も薄着を好んだらしいが、酷暑の常態化と残暑の長期化で、薄着はおしゃれではなく命を守るための格好になりつつある。
