《めてみみ》物を大切にする意識

2024/10/22 06:24 更新


 ロンドンを拠点にパターン作成やサンプル縫製などを手掛けるスタジオ・マサチュカは、ユニクロのリペア・リメイクサービスの技術監修をしている。補修だけでなく、日本の伝統手芸である刺し子の技術なども教えている。

 技術指導としてスタートした取り組みだが、欧米、日本でユニクロがサービスを拡大するのに伴い店舗ディスプレー用のリメイクサンプル作成も手掛け、英国やフランスで受注した服や雑貨のアップサイクルも請け負うようになった。

 ほつれや破れをふさいで刺し子を施す。複数の服の使える部分をはぎ合わせる。汚れの目立つ場所にひもやリボンで柄を縫い付ける。様々なテクニックを駆使して生まれ変わった服は欧州市場で好評だ。加工賃の分、価格が高くなっても頼む客は多いという。

 マサチュカの森川真彦代表によると、欧州ではECで返品された服や店舗で客が試着した服のアップサイクルを頼まれることも多いらしい。購入前の新品ではあるが、ファンデーションや口紅が付着して売り物にならないからだ。

 一方、日本では試着時に汚れてB品になる服はとても少ないそうだ。「物を大切にする意識がすごくしっかりしている」と森川代表。服の廃棄が年間50万トン発生する日本だが、試着する際のマナーに限って言えば、他国に比べ捨てたものではないようだ。



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