本紙10月16日付で、25年春夏デザイナーコレクションに見るトレンドテーマのまとめを掲載した。スタンダードやミニマル、マスキュリンといった定番の継続トレンドが多いなか、装飾的なスタイルが新たに広がった。歴史的な衣装を背景にしたヒストリカルなドレススタイルだ。
たっぷりとしたパフスリーブに、腰の丸みを強調するペプラムディテール。「ロエベ」はパニエでスカートを大きく膨らませたランプシェードシルエットのドレス、「クロエ」はギャザーを重ねたテントラインのドレスを見せた。フリルにラッフル、リボン、ビジューなどをデコラティブに飾ったブランドも多い。ここ数年続いたクワイエットラグジュアリーの反動から、装飾の時代へと移り変わる流れを感じた。
それは最近のストリートトレンドにも通じる。若い女性のハンドバッグやスマートフォンには、ぬいぐるみやキーホルダーがガチャガチャと飾られていて、90年代を彷彿(ほうふつ)とさせる。チャーム付きネックレスを重ね付けする人も増えてきた。服はシンプルだが、雑貨で思い思いの装飾を楽しんでいる。
25年春夏は装飾を重ねながらも、軽やかさが鍵となっている。シフォンやレースといった透ける素材を重ねて重厚なデザインもエアリーに仕上げる。スニーカーやビーチサンダルを組み合わせた日常のスタイルとしても提案している。