《めてみみ》伸びる外商売り上げ

2024/09/03 06:24 更新


 外商顧客をはじめ、年間買い上げ額の上位顧客を招いた特別販売会が、8月末から9月にかけて開かれている。春と秋の年2回、店舗やホテルを会場に実施しており、売上高が過去最高に達した。コロナ禍前の19年度実績を超えて「1日当たりの売上高は初商を上回った」(伊勢丹新宿本店)という。

 各社の23年度の外商売上高は19年度実績を大きく上回った。三越伊勢丹はグループで前期比11%増の2230億円に達し、2年連続の2ケタ増を確保。大丸松坂屋百貨店は7%増の2016億円。高島屋は百貨店総額売上高に対する外商比率が3割に達した。ラグジュアリーブランド、時計・宝飾品、美術など高額品が伸びた。

 高額品の伸びは、デフレからインフレへと変化したことが背景にある。いつ買おうか迷っていた消費心理が、今買った方が良いという購買動機に転じた。毎年価格が上がっても伸び続けるラグジュアリーブランドや、時計・宝飾品など資産効果のある品はインフレが購買を後押しする。こだわり消費としてのプラスの効果も表れた。

 もっとも、各社の外商改革も実を結びつつある。アプリなどデジタル戦略を通じた双方向のコミュニケーションや、外商セールス・販売員・バイヤーが連携したダイレクトマーケティング。デジタルと人の力を活用し、新しい外商の成長戦略を描いている。



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