大手百貨店で25年1月2日を休業する動きが広がっている。高島屋や松屋に続いて、大丸松坂屋百貨店も全国15店で2日の休業を決めた。年始営業は1月3日から。就業環境を改善して人材の確保につなげる狙いだ。
松屋銀座本店は今年の1月2日を24年ぶりに店休日とした。結果的に業績への影響は全く無く、5日間で1日分の売り上げの減少を取り戻した。「たった1日の店休日増で従業員がリフレッシュでき、取引先からも好評だった。初売りの象徴的な日であったことから、メッセージとしての意味が大きかった」(古屋毅彦松屋社長)という。
年始以外にも休日を増やす動きがある。高島屋は23年度から元日以外で、半年ごとに1日間の店休日を設定している。加えて店舗での営業時間を短縮するなど就業環境の整備を進めてきた。顧客の体験価値の向上のために余裕を持った販売体制を構築し、一定の成果が生まれている。
長時間労働は従業員が定着しない大きな要因だ。働きやすく魅力的な労働環境は、百貨店が直接雇用する社員だけでなく、取引先からの派遣販売員を含めた全ての従業員にとってますます重要になってきている。人手不足は単なる労働力の不足ではない。「質の高い接客サービスを提供する百貨店の業態価値そのものに関わる」(村田善郎高島屋社長)課題になっている。