《めてみみ》スタートライン

2024/04/04 06:24 更新


 外国人技能実習制度の「特定技能1号」の対象に繊維業の追加が決まった。対象分野である「工業製品製造業」の「追加業種」に入る。要件を満たせば、実習生は最長5年まで日本に在留できる。

 労働力不足が深刻化するなか、繊維業界では実習生を従来よりも長く雇用できる特定技能への追加を求める声が工場を中心に強かった。今回の決定について業界団体や多くの事業者は「念願がかなった」と歓迎し、今後への期待も高い。

 ただし課題も多い。政府は繊維業が特定技能実習生を受け入れるための「追加要件」として「国際的な人権基準の順守」など4項目を設定した。政府が繊維業の特定技能への追加を決めたのは、法令違反も多く対策が不十分とされた実習生に対する人権対策が「前進した」と判断したため。追加要件を設けることで、対策のさらなる強化を求める。経済産業省は「より厳しい」人権基準のガイドラインを作成中で、事業者はこれらをクリアしなければならない。

 さらに、特定技能の対象が従来の12分野から16分野に拡大、実習生が日本でより長く働ける職業の「選択肢」が広がる。繊維産業が実習生から「選ばれる」ために、働きやすく、やりがいもある環境を整備し、産業全体の魅力を高めていかなければならない。特定技能への追加決定は「終わり」ではなく「スタートライン」だ。



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