マニアの「欲しい」という欲望には際限がない。先日も有名ミュージシャンのライブチケットの転売に厳しく対処するとのニュースが話題になった。ファッション業界では、グローバルなスポーツブランドの協業や限定のスニーカーにプレミアがついて高値で取引されている。
ビンテージデニムブームの時と同じように、希少性が高い古着を欲しがるのも昔から変わらないが、今はマニアが求めるものが、より細分化しているようだ。いわゆる〝知る人ぞ知る〟ブランドに希少性を感じ、収集する熱狂的ファンの存在が大きい。
趣味で始めた欧州のブランド古着の収集を新規事業として起業した人まで出てきた。仏の高級メンズブランド「アルニス」を集める「國立外套店」(ナショナルコートショップ)の佐藤閑代表は、一昨年末からECとイベント販売を軸にスタート。服好きマニア同士のCtoC(消費者間取引)から進化した富裕層対象の新ビジネスだ。
既存の客層は40~50代の富裕層男性が中心だが、ブランドの歴史や背景などルーツをたどるのが好きな本物志向の若い世代が注目し出したことが追い風になっている。愛好家から起業家という一歩を踏み出した人が増えつつある。事業として確立・継続するには、希少性の高い〝幻のブランド〟を探し、提供し続けなければならないだろう。