ユニクロは今秋、値上げに踏み切る。ヒートテックやウルトラライトダウン、フリース、カシミヤセーターなど秋冬の定番商品を平均で1~3割値上げする。
保温肌着やフリースの一部商品には5割近い値上げになる商品も出てくる。原油価格が去年の同じ時期の2倍近く、為替レートが3割円安になっているのに、価格を据え置いて売ったところで利益が出るわけがない。
ネットもテレビもこぞってこのニュースを取り上げた。しかし、日本で売られる服の1割を占めるユニクロが値上げせざるを得ない状況に追い込まれていることの意味にまで言及した報道は、ほとんどなかったように思う。
所得が上がらず、可処分所得も増えない中での値上げが、客離れを招きかねないことなど、ユニクロがわかっていないはずがない。だからジーンズはこの状況下でも価格を据え置き、値上げするヒートテックもストレッチ性を上げて消臭機能を付与し、セーターは製法を変えるなど付加価値を高める努力をしている。
秋冬物の展示会取材で、あるセレクトショップに今季のトレンドは何かと問うと、「値上げだよ」と吐き捨てるような答えが返ってきた。去年から玉ネギの値段が倍以上になっていることも知らなさそうな日銀総裁に「家計の値上げ許容度も高まっている」などと言われてはたまらない。