《めてみみ》都心回帰?

2021/08/13 06:24 更新


 やはり買い物は都心で、ということだろうか。大手百貨店の7月の月次速報売上高を見ると、都心店はおおむね前年同月比2ケタ増だ。一方で、郊外立地店や地方都市などの支店は前年割れが目立つ。昨年7月は逆だった。

 テレワークの推奨や不要不急の外出自粛など人流抑制が大きく影響したのが、20年の消費だった。今は長引く自粛疲れもあるのだろう。緊急事態宣言下の都市であっても人流が抑制されているとは言い難い。7月の都心店の伸びは、前年数値への反動に加え、人流(購買客)が戻ってきた結果との見方もできる。

 物販だけでなく、飲食やエンターテインメントを含めて〝品揃え〟が豊富なのが都心。この集積が、わざわざ出かける価値を生み出してきた。好調な売り上げが続くラグジュアリーブランドや高級時計、美術・宝飾などの高額品はその代表。都心部にこうした商品が集中する構図は、そう簡単には変わらないはずだ。

 もっとも、ECの扱い品目の拡大は今後も続くだろう。Zoomなどを活用したオンライン接客・販売や取り寄せサービスが広がっており、都心でしか買えなかった高額品も購入できるようになった。こうしたオンライン購入が習慣化すれば、都心店への来店頻度は減少する。わざわざ出掛けるリアル店の付加価値とは何か。改めて問い直す必要がある。



この記事に関連する記事