《めてみみ》もっとすてきに

2021/02/09 06:24 更新


 ビームスで長年バイヤーを務めるテリー・エリスさんと北村恵子さんに話を伺う機会があった。現在は「フェニカ」というレーベルで「デザインと工芸の橋渡し」をテーマに、服や家具や雑貨、食品を海外や日本で探し、買い付け、販売している。

 買い付けると言っても、メーカーや産地、職人の作る物をそのままではなく「こうしたらもっとすてきになる」と2人が考えたアイデアを必ず加え、他にはない商品に作り替え、仕入れている。

 元々は欧州のデザイナーの服を日本に紹介していたが、続けるうちに生活に関わる物全般をファッションとして捉えるようになり、今のように様々な商品を扱うようになった。今では日本の民芸品や器もフェニカの品揃えの一角を占める。

 小さなレーベルだから大量には仕入れられない。中小のメーカーや職人に頼み、手間をかけて作ってもらうので、値段も決して安くはならない。だから「長年使っても色あせない価値がある商品だけを選ぶようにしている」という。

 適正価格で適量生産で廃棄に回る在庫が出ない仕組みを作ることも無論大事だ。でも、多少高くても欲しいと思えて、買った後も使うたびに愛着がわき、手放せなくなる。そんな商品を知恵を絞って作ることもファッションにおけるサステイナビリティー(持続可能性)の一つの形だと思う。



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