ルミネは夏の全館セールを休止し、7月1~31日にショップが任意で行う形式に変える。6月には実施していなかった「スペシャルプライス」表示も、今年はできるようにした。
同社は実需最盛期でのプロパー販売を強化するため、12年夏から全館セールの開始時期を遅くし、昨年は7月25日から実施した。6~7月は実需に対応しながら、次のシーズンを先取りしたプロパー品の拡大を促し、一定の成果を上げてきた。これが今年は様変わりする。
全館セールを休止するのは混雑を避けて新型コロナウイルスの感染を防止するとともに、休業・販売不振によって多くの在庫を抱えたショップを「パートナーとして支援する」(森本雄司社長)ためだ。
繊研新聞社が5月に実施したアンケート調査でも、営業再開後に早期に在庫が処分できる態勢作りを支援策としてディベロッパーに求めるテナントが多かった。ルミネ以外でも、全館セールの休止を検討するディベロッパーは複数ある。
そもそも全館セール前の値引き販売は常態化し、ECでは早期化している。この流れについて、業界では「ブランド・商品価値を毀損(きそん)する」と危惧(きぐ)する一方、「在庫処分のための値引きはブランド・ショップによって決めるべき」という意見もあった。コロナ禍は全館セールのあり方を問い直す契機にもなった。