《めてみみ》男らしさ

2020/01/24 06:23 更新


 20~21年秋冬メンズ市場は、男性らしさを巡る考え方の変化を背景に、トレンドが大きく変わりそうだ。ここ数年でビジネススタイルが変化し、急速にメンズテーラーリングの市場が縮小している。ネクタイに至っては、昨年の売上高は前年の90%以下と聞く。ビジネスの着こなしが変わり、男性のライフスタイルが変わる。スーツを鎧(よろい)のようにして、体裁を保ってきた男性の意識もまた変わろうとしている。

 秋冬メンズコレクションでは、スーツをビジネスツールとしてではなく、新しい男性らしさを語るファッションアイテムとして出せるかどうかがカギとなった。ジェンダーの捉え方の変化もあり、どこかフェミニンであったり少年風でもあったりするテーラードスタイルが登場した。権威の象徴でもあった、これまでのスーツとは違うニュアンスだ。

 スーツが売れないからと、カジュアル向けのアイテムを増やしたブランドもある。しかし、それは根本的な解決にはならない。問題はアイテムとしてのスーツが古くなったのではなく、男性像が変化しているからだ。

 ファッションの楽しさや着飾ることの喜びを描くこと、その中での選択肢としてスーツでどんなスタイルを提案できるのか。大きく変わる男性らしさの基準とともに、デザイナーたちにそんな課題が突き付けられている。



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