干支(えと)には普段あまり縁がないが調べてみると、今年の「庚子(かのえね)」は、時代にも符合しそうだ。「庚」は新しい姿に生まれ変わろうとする状態、「子」も新しい生命が生まれようとする状態を指すとされる。元号は昨年、平成から令和に変わったが、それは5月から。本格的な新時代は今年からと見るのは都合がよすぎるか。
例えば、サステイナビリティー(持続可能性)への取り組みは、業界にとっても必要不可欠になった。もともとアパレル産業は環境への負荷が高く、毎年12億トンの温室効果ガスを排出し、綿のTシャツ1枚を生産するのに2700リットルもの水を使うという。これらも一因の地球温暖化は、日本でも台風の大型化や気温の上昇を招き、実商売に影響を及ぼしている。
消費者のファッションに対する意識も大きく変わった。実店舗からECへ、購買や所有からシェアリングへ。そして、購入する製品はその背景や意味を深く考える。問題はこうした変化に対して業界・企業が立ち遅れていることだ。
環境や消費者の変化は業界に革新をもたらすはず。旧態依然としたビジネスを続けていては、業界再編の嵐に淘汰(とうた)される。それに立ち向かい、生まれ変わろうとする企業だけが生き残る。20年は改めて繊研新聞社もそうあるべく努め、そうした企業や業界を応援したい。
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