《めてみみ》令和の始まり

2019/12/27 06:23 更新


 「バッグだったものが財布に。財布から香水に」。ある百貨店によれば、クリスマスギフトの単価が下がった。消費増税後、特に中間所得者層の消費引き締めが続き、12月商戦も低調という。増税前には、14年4月に比べて駆け込みも反動減も小さいとの見方があったが、〝谷〟は深く大きいのかもしれない。

 今年を振り返ってみても、明るい話題と言えるのは新元号、ラグビーワールドカップぐらいだろうか。増税のほか、米中や日韓の貿易摩擦、台風など経済にマイナス影響を与える出来事が多かった。わが業界でも、東京・渋谷での複数の大型商業開発はあったものの、前向きな投資案件は少ない。総合アパレルのリストラ発表があり、百貨店の閉鎖は来年も続く。

 さらには気象庁が日本の年平均気温が統計開始以来、「最も高い値になる見込み」と発表。厚生労働省が19年の出生数推計が初の90万人割れ、「自然減」も50万人超の見込みとした。未来を考えれば重い数値だ。

 人口減少は、服の過剰供給・過剰在庫問題の早期解決を迫る。温暖化が進めば、MDの抜本的な変革も求められる。節約志向もまだ続きそうだ。解決手段として、受注生産、レンタルなどの二次流通や引き取りキャンペーンが広がり始めた。未来につながる新たな服の作り方、売り方が今後も生まれることを期待したい。



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