「○○はいかがでしたか?」。たびたびスマートフォンに表示が出る。自分の個人情報がどこでどう使われているか想像がつかず怖い。位置情報などを提供しなければ多くのサービスが受けられず、半強制に近いから困る。
就職情報サイト「リクナビ」が学生の内定辞退率予測データを顧客企業に販売し、問題になった。米連邦取引委員会などは米グーグルに傘下の「ユーチューブ」を使って子供の個人情報を違法に集めたと1億7千万ドルの制裁金を課した。
多くの企業がデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを変えようとする今、個人情報をどう扱うかは避けて通れないテーマ。現改正個人情報保護法では、以前は5001人分以上の個人情報を利用する事業者だった法律の適用対象を拡大。個人情報の数にかかわらず「データベース化して事業に利用している事業者」全てが適用範囲となり、企業だけでなく町内会や学校の同窓会なども個人情報を扱う際のルールが義務づけられた。一方で政府は個人情報の扱いについて「基本的には常識的な注意で十分」とし「使う目的をきちんと説明する」「勝手に目的外に使わない」「しっかり管理する」などを基本ルールに掲げる。
事業での活用を急ぐあまり、〝常識的な注意〟さえ怠ってはいないか。常識を持たない企業に個人情報を扱う資格はない。