家電が変わりつつある。パナソニックは、プラスチック代替として植物由来のセルロース繊維に注目し、軽さと強度を併せ持つ複合樹脂を開発した。この新素材は着色の自由度が高く、木目調など様々な色・柄が実現できるという。今後、冷蔵庫や掃除機の見た目が大きく変わっていきそうだ。
アマゾンエコーなどスマートスピーカーも、カバーをレザーやテキスタイルに変えるだけで無機質な雰囲気が一変する。この動きに注目し、ある商社は積極的に新規開拓してITアクセサリー関連の素材販売が伸びている。
現在は開発休止中だが帝人フロンティアの総合展で見た、小型電気自動車「リモノ」にも繊維の可能性を感じた。試作品のボディーの外装に採用されたのが、同社のテント用生地。防水性や耐候性に加え、自由な色・デザインが実現できるのが、採用の理由。可愛い見た目だけでなく、ウレタンをテント素材で包んだ柔らかなボディーは事故の衝撃を抑え、高齢者でも運転しやすい点も注目されている。
他商社でも「既成概念にとらわれず既存部材の代替として、積極的に繊維素材を売り込んでいる」など、異業種を攻める動きがある。機能面に目が行きがちだが、繊維素材の持つデザイン性の高さや雰囲気、手触りの良さなど、他業界から見ると武器になる要素はたくさんある。