環境に配慮した素材へのニーズが高まってきた。「アパレル、小売業からの問い合わせが急増している」。帝人フロンティアは20年春夏向け総合展で、ペットボトルをリサイクルしたポリエステル繊維「エコペット」で作った衣料品を入り口すぐの目立つ場所で見せた。再生糸を使った衣料品といえばユニフォームやTシャツ、ポロシャツなどの印象だったが薄手のアウターや羽織りなど、その豊富さに驚いた。
バリエーションが増えた要因の一つは、ニーズの高まりだ。顧客の「ファッションでも使いたい」との要望から様々な生地を開発した。二つ目は、以前は短繊維に限られたが長繊維糸ができるようになり、作れる範囲が一気に広がった。
しかし難点がある。長繊維に使える「S級の良質なペットボトル原料は量が限られる」点だ。純度が高い原料は粘度、均一性が高く長繊維に再生できるが、不純物が混じると強度が落ち、作れる商材は限られる。
上質なリサイクル原料と、それ以外の差はちょっとしたことでつくという。家庭でペットボトルを分別、廃棄する際、水できちんとゆすぐかどうかで大きく違う。そのまま捨てるとカビや異臭が発生し原料の質が一気に下がる。
意識一つでリサイクルの可否が変わると聞いた後から、ゴミの分別とペットボトルの水洗いは徹底するようになった。