《めてみみ》労働者は生活者

2019/01/15 06:24 更新


 工業団地に近く公営住宅も多いため、地域には日系の南米人が多く暮らしている。ただ、日系とはいえ3世、4世となると日本語が分からず、生活する上で様々な苦労があるようだ。

 学区の小中学校にはたくさんの日系人の子供が通うが、通訳が常駐する学校は限られる。子供たちは学校生活で日本語も話せるようになり、通訳が不在の場合は教師と親が子供を介して話し合うことが多くなる。ただし、子供は自分に不利なことを親に伝えたがらない。教師の思いが届かず、家庭との連携が取りづらい問題も起きている。

 日系人が職種制限なしで国内で就労が認められるようになってからまもなく30年になる。厚生労働省「外国人雇用状況」によると、定住者(主に日系人)を含む「身分に基づき在留する」労働者は46万人。製造業を中心に、欠かせない労働力として存在感を高めているが、生活や教育の面で環境整備は遅れている。

 昨年12月、改正入管法が成立し4月に施行される。日本の入国管理政策は、外国人労働者の受け入れ拡大に大きくかじを切った。だが、懸念されるのは受け入れる職場は多くても、暮らしの場が整っていないこと。働くためだけに訪日する外国人はいない。労働者は生活者でもあるからだ。安心して生活できる環境を整備しなければ、優秀な外国人労働者は定着しない。



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