《めてみみ》意外と多いニーズ

2018/11/27 06:24 更新


 今秋、東京・日本橋の老舗百貨店が相次いで大型改装を実施した。消費者の変化に対応し新たな顧客層の拡大を狙う。19年度の全館改装に向けた先行オープンだが、高島屋と三越の方向性の違いが浮き彫りになった。

 高島屋はSC型の新館を9月25日に開業し、本館の百貨店を合わせて日本橋高島屋SCとして刷新した。新館は周辺の就業者や居住者らの関心事に合わせて地域で欠落しているモノ、コトを提供する。その象徴が早朝営業だ。飲食など10店が平日朝の7時30分から営業する。8時30分までの平均来店数は700人に達し、飲食の平均客単価は900円を超える。

 三越日本橋本店は10月24日に第1期改装オープンした。専任のコンシェルジュ90人を再配置し、パーソナルな接客体制を整えた。デジタル化で顧客・商品情報を一元化、接客サービスを強化した。コンシェルジュによる接客を通じた仮説・検証で、客単価が4、5倍に上がった事例もある。

 高島屋はライフスタイルの変化対応、三越は接客・販売の専門性に特化した。新規顧客を獲得する点で課題もあるが、時間やサイズなど買い物のストレスをなくし、リアル店の優位性を改めて問い直した。ネットでの買い物が当たり前になったからこそ、「ヒット率の高いお気に入りの店で快適な買い物がしたい」顧客は意外と多い。



この記事に関連する記事