《めてみみ》「人」という文字

2018/01/22 04:00 更新


閉館後にフードコートで行われる年末の総決起集会で交流する従業員(マーサ21)

 「人」という漢字は、しっかり足を開いて一人で立っている姿だと教わった。だから人は一人でも人らしく生きなければと思っていた。それが近頃では、人と人が支え合っている形だと語られるようになった。人は一人では生きていけない時代になったようだ。

 「このままでは〝孤独死〟しそうです」。地方のSCに出店している専門店の店長が嘆く。同じSCや近隣のSCにあった同じ会社の店は撤退してしまった。立場の同じ仲間が集まるのはたまに本部で開く店長会だけ。愚痴をこぼす相手がいない。孤独に耐え切れず何度も離職を考えたという。

 人手不足で専門店は出店に慎重になっている。大切な人材が孤独死するようなSCには出店したくない。ES(従業員満足)向上への取り組みが、専門店が出店先を選別する上で大きな要件になっている。テナント従業員が意欲を持って前向きな気持ちで働ける環境を作っているかどうかだ。そのため多くのSCが、従業員トイレや休憩所といったハード面への投資にとどまらず、懇親会やパーティーなど館内のコミュニケーション作りにも力を入れている。他の店のスタッフと仲良くなれば、孤独感がいやされる。

 売れる時代には一人でも立っていられた。だが、努力や工夫が簡単には成果につながらない厳しい時代には、支え合う相手が必要だ。



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