「隣の印度人なにしてるの~」。80年代に流行した戸川純の歌だ。メロディーが浮かぶ読者もいるだろう。まだ海外が遠かった時代。とりわけインドは、距離感に加え、宗教や社会制度、スピリチュアルな世界観などから、不思議な国のイメージが強かった。
この夏、インドのホテルで不思議なことがあった。同行の知人が部屋に冷蔵庫が無いとフロントにクレームを付けた。部屋の変更を申し出た後、外出から戻ると、なんと部屋には大きな冷蔵庫がドンと置いてあった。日本人では思いつかない発想に笑いながら、ふと考えた。
形はどうであれ、これは宿泊客のニーズに何とか応えようという姿勢の表れではないか。サービスすれば、チップが入りホテルの評判も上がる。最終的には自分たちの豊かさにつながっていく。
中国が急速に経済成長を遂げた時、同じ思いを持ったことを思い出した。サービス精神が根付いていく国は急速に伸びる。インドは今も7%強の経済成長率を維持、45年には人口で中国を抜くという。欧米企業が既に進出、日本からも良品計画、アシックス、ワコールなどが出た。日本の大手カジュアルSPA(製造小売業)の進出も近いと現地紙は伝える。奥深い国だけに、様々な紆余(うよ)曲折があるだろうが、5年もすれば、この〝隣人〟の動向に目が離せなくなるのかもしれない。