《めてみみ》品定めはどこで?

2017/06/27 04:00 更新


 「入館客数は減っていないが、服屋への入店客数は一時に比べ2、3割は減っている」。駅ビルに多くの店舗を持つセレクトショップのトップがこう話す。理由は二つ考えられるという。

 一つは、消費に占めるファッションの優先順位が他の項目に比べ下がっているから。もう一つは「次に買う服の品定めをリアル店舗でしなくなっているから」という。

 わざわざ店に足を運ばなくても、ネットの方が早く、色々なものを見ることができる。後者の仮説を裏付けるように、この店では入店客数は減っているものの、日々の売り上げ自体は減っていないのだそうだ。

 ネットによる事前チェック組を含め、固定客の数は維持できている。この状況を踏まえ、同社は「今後、ターゲット客の往来が多い立地の施設というだけで出店の判断をすることは難しくなる」という。

 家賃が高くついても、好立地の商業施設に出店してきたのは、大きな売り上げが見込めるからだ。店で見た後、ネットで買うとしても、自店の商品を見てもらうショールームとしての店は、トラフィックの多い場所にあった方が良い。

 その前提が崩れたら、当然、固定コストがかさむ出店に二の足を踏む服屋は増えてくる。ふり客が商品を吟味する場所もネットに移りつつある昨今、リアル店舗を出す場所も意味も改めて問われている。



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