ニューヨークのメトロポリタン美術館で「川久保玲/コムデギャルソン:間の技」展を見た。新しい美に挑みながら、ビジネスとして成立させてきたコムデギャルソンという会社についても考えさせられた。
08年に川久保氏は、服だけではなく会社をデザインすることを強調していた。「コムデギャルソンとしては服だけではなくて、会社の進み方自体が新しくなくてはいけない。デザイナーが一つの服一点作ってということじゃなくて、会社全体がデザインされるっていうことです。運営の仕方、売り方、ビジネスの方法論など、今までなかったことを実行しなければ、かっこいい新しい会社にはなれない。クリエイションしていないと思うんです」。
先日、対談したデザイナーのナカアキラ氏は、「本当に自分が自由を持ってデザインをしようと思えば、ビジネスが回っていかないと制約が多くなりすぎる。いいデザインをすれば、それは売れるからビジネスになるだろうって思いがあったんですけれど、そのいいデザインをどうビジネスベースで進めていくかとか、ビジネスにはデザインとはまた違うクリエイションがある」と語った。
インディペンデントなデザイナーがビジネスを成長させていくのが難しい時代。クリエイションは服そのものだけでなく、ビジネス全体に向けられる必要がある。