《めてみみ》1億人割れ

2017/05/09 04:00 更新


 厚生労働省の推計で、日本の人口が53年に1億人割れする見通しとなった。15年の総人口は1億2790万人で、50年後の65年には8808万人に減る。15~64歳の生産年齢人口の割合は、現在の60・8%から50年後には51・4%へ低下する。逆に65歳以上の高齢者の割合は26・6%から18・4%へ上昇する。

 少子化を食い止めるための子育て世帯に対する支援は国だけでなく、企業も取り組むべき経営課題となった。社員の育児と仕事の両立はその一つだ。東急百貨店札幌店は4月1日、店内に保育所「さっぽろ駅前保育園」を開園した。地元の社会福祉法人に運営を委託。0~2歳を対象に定員19人のうち11人を従業員枠、残りを一般から募った。

 開設に向けて内閣府の企業主導型保育事業制度を活用した。同事業は企業が主として従業員向けに設置する施設を申請に基づき助成する。認可保育園とは基準がやや異なるが、自治体を通さない申請手続きなどで利用しやすいという。

 少子高齢化による人手不足がすでに現実となっているが、問題はそれだけにとどまらない。市場縮小だ。日本経済の活力を奪いかねない少子化に対する危機感は弱い。欧州諸国などと比べて取り組みの規模が小さく、スピードが遅い。国と企業が連携し、社会を支える次世代への投資は避けられない課題となった。



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