縫製大手のマツオカコーポレーション(広島県福山市)は、今期立ち上げる4工場の新設や拡張で売上高を200億円上乗せする。今期からスタートした新中期経営計画では、17年度の売上高実績578億円を最終年度の20年度には800億円に高め、経常利益も35億円から55億円に引き上げる。実現するため積極投資を続けており、今期だけでも54億円を設備投資し、3カ年では80億円を投資する計画だ。
(高田淳史)
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前年度はベトナムに集中投資したが、今期もベトナム、インドネシア、バングラデシュで新工場を立ち上げ、ミャンマーでは既存工場を増設するなど積極的に攻める。同社は昨年12月、東証1部に上場したのを機に、「アパレルOEM(相手先ブランドによる生産)でグローバルトップレベルを目指す」と大手SPA(製造小売業)との取り組みを軸に成長戦略を描く。
ベトナムではパンツに特化したフートマツオカの第3工場を新設し、最大で月間18万本を増産する。今月に建物の引き渡しが完了し、順次生産を始める。
「新しい合弁・共同出資事業のモデル」と位置付けるのがインドネシアで立ち上げる新工場だ。出資比率はマツオカコーポ51%、ファーストリテイリング25%、蝶理20%、東レ4%で11月から稼働する。まずは400人体制でスタートし、最終的には1300人まで増やす。
「400人の募集に3日間で3500人の応募があった。同じアジアでも縫製で人が集まらない国もあるが、これだけ集まる国や地域もある」と松岡典之社長は手応えを得ている。生産するアイテムは非公表だが最終的には月産35万点まで増やす。
バングラデシュでもインナーの第3期工場が完成し、月産200万点を増産。ミャンマーは既存工場を拡張し、月産5万枚を上乗せする。「受注活動は順調に推移しており、これらの工場を着実に運営することで今より200億円売り上げを伸ばす」と松岡社長。20年度にはベトナムの別の場所で新工場を立ち上げることも検討している。人件費が高騰し、人員も集まりにくい中国から東南アジア中心に主要拠点を広げ、充実させていく。