札幌の商業施設マルヤマクラス 開業から10年連続増収

2020/07/21 06:30 更新


地域の幅広い年齢層の女性を捉える

 三菱地所リテールマネジメントが運営する札幌・円山公園の商業施設、マルヤマクラスは、地域特性に対応し、開業から10年連続で増収を果たした。新型コロナウイルス禍のもとだが、地域に根差したあり方で回復基調にある。

 同施設は、札幌市中心部に近く、所得の高い層が集まる居住地域、円山公園に立地する。店舗面積1万4400平方メートルに、80店が揃う。09年の開業から増収を続けており、20年3月期の売上高はコナミスポーツクラブを除いて80億270万円(前期比2.0%増)と初めて80億円を超えた。札幌市内でも珍しい人口の増加しているエリアで、直結する地下鉄・円山公園駅の乗降客が10年で1.4倍になるといった好条件とともに、周辺からの高感度な顧客に応える店揃え、運営で押し上げてきた。

 19年は3月を中心に15店の新店を入れ、7店を移転・改装したが、重点としたのは「感度の高い周辺住民の顧客に満足してもらって、頻度高く来店してもらうこと」(菊田徳昭館長)。2階のファッションゾーンではエリアに見合ったテナント揃えに磨きをかけた。地下鉄で3駅の商業集積地・大通に行かずにすみ、差別化ができる店揃えを目指しており、メラーンジュ、アール&クロスシーズンなど北海道発のテナントの導入が進んだ。これにより全館で7割前後は道内企業のショップとなっている。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う休業から全店が再開した6月の売り上げは、全館は前年同月比0.5%減だが、サービス、飲食部門を除くと2.0%増に回復している。今後も移動が手控えられる中でも、徒歩あるいは仕事帰りに寄れる地域密着型の施設としての強みが発揮されるとみる。

 近隣の円山動物園にトラやユキヒョウの体重計を贈るための募金を19年9月に実施するなど地域密着を打ち出してきた。6月10日からは北海道の「エールを北の医療へ!」募金に協力、100円でマスク2枚を進呈する手動式の自販機を設置している。街とともに成長する施設としての運営を強めている。



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