カットソー製品の丸久 売上高がコロナ禍前を上回る 素材開発から生産までの取り組み型で

2023/08/04 06:27 更新


スカート付きレギンスが支持されている

 カットソー製品メーカーの丸久(徳島県鳴門市、平石公宣社長)の売り上げがコロナ禍前を超えている。バングラデシュの自社工場を活用し、業績好調な専門店と素材開発から生産まで取り組み、取引額を増やした。23年3月期の売上高は88億9000万円(前期比9.8%増)と増収増益。20年3月期の73億円からも大きく伸びている。

 バングラデシュの自社工場マルヒサ・パシフィックは、従業員が約2000人で、編み立て・染色・縫製・プリントを一貫で行い、デザイン物で月産80万枚を生産する。この5年で取引先を3分の1に縮小し、素材から作り込んで独自性を追求する「ベターゾーン」の企業との取引額を増やした。

 素材は、綿100%だけでなく、綿・ポリエステルの機能性素材やリサイクル素材などバリエーションを揃える。売り上げの半分は子供服だが、メンズ・レディスも含めて全社的に取り組む大手専門店も増えた。売り上げ実績がついたため、定番品の生産を請け負うなどしてパイプをさらに太くしている。最近は、アウトドア企業との取引も増えている。

 前期の国別の生産比率は、バングラデシュ80%、中国15%、タイ5%。コロナ禍で短納期生産の需要が高まり、中国比率が上がっていたが、今期は減らし、バングラデシュを83~85%まで高める計画。国内企業向けの売り上げは早期に100億円を目指し、新たに欧米企業のOEM(相手先ブランドによる生産)も始めてさらなる増収を目指す。

 オリジナルの子供服のECブランド「エバークローゼット」の前期売上高は5億2000万円。スカート付きレギンス「スカッツ」が主力で売り上げを伸ばし、21年、22年連続で「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。現在は値引き販売を抑制して収益改善を進め、来年には黒字化する計画。経験者の採用でビジュアル表現も改善され、今春夏はレディス、キッズで水陸両用Tシャツ、ショートパンツがヒットしている。

ワンピースなど布帛のアイテムも増やしている
自社ECブランドでは水陸両用アイテムがヒットした


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