マークスタイラーがコロナ前の実績を上回るまで復調している。今期(23年2月期)の売上高は、8月までの累計で19年度を超える見通しとなっており、期末では325億円を見込む。再成長している「ダズリン」「マーキュリーデュオ」「ラグナムーン」をはじめ、コロナ下でも好調が続いた「リゼクシー」「ジェイダ」が売り上げをけん引している。プロパーで売り切る施策も実を結んでいる。
(松本寧音)
今期は6月までの19年度比で一部ブランドは超えているものの、全体では4.5%減。セールを抑制し好調な7、8月までの累計実績は、10%増のペースで推移している。20年2月期の売上高は315億円。新型コロナウイルスの影響を受けて21年2月期は約40億円のマイナスとなるも、22年2月期は約300億円まで戻していた。
コロナ下で最も売り上げを伸ばしたのが自社ECだ。当初は店舗閉鎖によってあふれた在庫をECに回し、毎週新作を見せ続け、お客の購買意欲をかき立てた。店頭在庫処分による価格競争をする競合他社が多かったが、仕入れを増やすことでコストを下げ、プロパーで売り切ることにこだわった。オフ率を抑え、セール期間を短くし、それでも余った在庫はアウトレットへ移す。店頭ではできるだけ新商品や鮮度の高い商品を提供する。このような施策が実を結び、消化率は約90%、EC比率は約52%まで向上した。
この2年間のセールは前年実績の50%ほどに抑え、セールを行っていた時期の売り上げはプロパーの販売でカバーしている。セールを少なくすることで在庫となるものもあるが、アウトレットショップ(現在11店)を増やして消化している。
コロナ下の2年間では、特にダズリンが伸び率1位を誇る前期(22年2月期)比50%増で、今春夏も好調。期初予算に対して、コロナがなかったかのように予算を超えたジェイダとリゼクシーの存在も大きかった。この2ブランドは顧客に欲しい商品や欲しくない商品をヒアリングし、売りたいアイテムを確立して企画に反映した。真摯(しんし)に物作りに向き合ったブランドが結果にも表れている。秋山正則社長は「非常に良い変革で、今期は順調」と話す。これらの成功体験を他ブランドに広げ、全体を押し上げていく。