大手百貨店の2月売上高(既存店ベース、速報値)は全社が前年実績を下回り、6社中5社が2ケタ減を強いられた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、インバウンド(訪日外国人)需要が大きく落ち込んだことに加えて、国内客の売り上げ、客数が月後半から失速した。春物の立ち上がりも今一つだった。
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三越伊勢丹は伊勢丹新宿本店が10%減、三越日本橋本店が16%減、三越銀座店が36%減だった。婦人服が2ケタ減で、コートが苦戦した。春物はドレス、ブラウスなどオケージョン需要が堅調だったが、全体を補うまでに至らなかった。グループ店で唯一の増収だった新潟三越伊勢丹は3月22日に閉店する新潟三越のセールが寄与して9%増だった。
高島屋は、玉川店、港南台店、高崎高島屋を除く全店が減収だった。大阪店25%減、京都店15%減、横浜店11%減となり、大型店の苦戦が響いた。婦人服が18%減、婦人雑貨が27%減だったほか、特選衣料雑貨が6%減で、高額品が伸び悩んだ。
大丸松坂屋百貨店は大型店が軒並み2ケタ減となった。婦人服、紳士服、雑貨が20%減で、春物が振るわなかった。
そごう・西武は西武池袋本店が7%減だった。婦人服、紳士服、化粧品が2ケタ減で、ほぼ全ての商品領域で前年割れとなった。ラグジュアリーブランドが3%減だったほか、高額品が堅調だった。
阪急阪神百貨店は阪急うめだ本店が18%減で、客数の落ち込みが響いた。支店・郊外店は食料品の比率が高いことから、微減収にとどめた。
近鉄百貨店はあべのハルカス近鉄本店が15%減で、衣料品や雑貨など季節商品の動きが鈍かった。
免税売上高は三越伊勢丹が63%減、高島屋が69%減、大丸松坂屋百貨店が75%減となった。大きく落ち込んだのは、春節(旧正月)期間が1月に前倒しとなったことによる前年(19年2月4~10日)の反動減に加えて、中国政府による団体旅行の規制が影響した。
3月は新型コロナの感染拡大の防止に向けて、営業の縮小がが相次いでいる。営業時間の短縮や臨時休業が実施されることで、売り上げ減が避けられない。外出の自粛による国内の客数減やインバウンドの落ち込みが続く見通しだ。