毎日新聞社は10月16日、「23年(第41回)毎日ファッション大賞」の表彰式を都内で開いた。4年ぶりに、受賞者に関わる来賓も参加し、歓談の場を設けた。年間を通じて優れた成果を上げた人に贈られる大賞は「マメクロゴウチ」の黒河内真衣子さんが受賞した。
黒河内さんは11年春夏にブランドを始めた。14年には、毎日ファッション大賞の新人賞・資生堂奨励賞を受賞した。18年からパリで発表し続けており、国内産地の生産者に寄り添った物作りの姿勢が評価された。黒河内さんは「この13年間に得られた一番の財産は、協力してくれるスタッフが出来たこと。私個人ではなく、スタッフ一人ひとりのマメになったと感じている。物作りは難しさに直面しますが、現場でたくさんのことを学び、形にして下さる職人の人たちを尊敬しています。今も出来上がったサンプルを見る度に感動します」などと話した。
新人賞・資生堂奨励賞は「シンフラックス」の川崎和也さんが受賞。ITやAI(人工知能)のテクノロジーとファッション製品の共振を目指すスペキュラティブ・ファッションデザイナーとして活動する。独自に開発した、洋服の型紙を無駄なく配置するソフトウェア「アルゴリズミック・クチュール」ではゴールドウインと協業し、「ザ・ノース・フェイス」の量産時に生じる廃棄物を3分の1に減らした。受賞に伴うプレゼンテーションでは、その製品を紹介し、イッセイミヤケの宮前義之デザイナーと特別対談も行った。
ファッション業界に貢献した人や団体に贈られる鯨岡阿美子賞は、ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さん、話題賞はセイコーウォッチの高級ブランド「グランドセイコー」と、タレントののんさんが受賞した。特別賞は文化学園が受賞した。