【パリ=松井孝予通信員】仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトングループは25日、米ティファニーの買収で基本合意したと発表した。買収額は、1株当たり135ドル、総額で162億ドル。20年半ばまでに買収手続きを完了させる予定だ。
ベルナール・アルノーLVMH会長兼CEO(最高経営責任者)は、「我々の傘下メゾンを成長させた経験を元に細心の管理と決意をもって、ティファニーという象徴的なブランドを輝かせる意欲に燃えている」とグループ過去最大の買収への意気込みを示した。
【関連記事】LVMH ティファニー買収合意の見通し
ティファニーの18年売上高は44億ドル。米国が44%、日本が15%を占める。LVMHは「ショーメ」「フレッド」、そして11年に43億ユーロで買収した伊「ブルガリ」のジュエリーメゾンを所有する。同グループの18年売上高468億ユーロのうち、ウォッチ&ジュエリー部門は41億ユーロ(うちジュエリーは40%)と占有率が低い。商品価格が幅広いティファニーを傘下に、同部門の規模を倍増して成長の潜在性が高いジュエリー、特に米国市場を強化する。「カルティエ」「ヴァンクリーフ&アーペル」を有し売上高70億ユーロ超の同市場のトップ、スイス・リシュモングループの追随を狙う。
一方、ティファニーCEOで、LVMHのブルガリとセフォラの要職の経験を持つアレッサンドロ・ボリオーロ氏は、「この買収はティファニーの変革の支えとなり、新ジェネレーションのハイジュエラーへの目標達成の弾みとなる」と、1837年創業の米国を象徴する宝飾店の新たな期待を表した。