レディスブランド「リトルスージー」(ヌエバ、大阪市)は大阪の旗艦店を南船場の大阪農林会館2階に移転した。大阪有数の歴史的ビルに店を構えることで、ブランドの世界をより深く伝え、顧客がゆったりと過ごせる居心地の良さを重視した。
「5年前に店を出したころとは好きなものも変わり、改めてブランドが体現したいことを全体で見せたい」(朴英心デザイナー)との考えから、農林会館への移転を決めた。店舗面積は約63平方メートル。ヨーロッパのアパートメントのような大きな窓がある空間に、陶器のオブジェやデザイン性の高いライトなど、マテリアルを生かしたアートやインテリアを飾った。オリジナルのウェアだけでなく、今後はセレクトしたテーブルウェアやコスメなども販売予定。「コロナ禍で実店舗が不要とされるなか、挑戦的な決断だけれど、もともと店作りが好きで始めたこと。経営者として今やりたいと思った」と岡部大輔社長。同店限定の商品や、陶器作家のイベントなど、実店舗でしか出来ない価値作りに力を入れる。
同社は韓国で買い付けたデザイン性の高いウェアのネット販売からスタート。16年3月に南船場に実店舗を開いた。17年秋冬にオリジナルブランドを立ち上げて以降はオリジナルの販売に集中し、東京では伊勢丹新宿本店、恵比寿に店舗を持つ。18年に出した変形タンクトップが大ヒットした時は客層は20代後半が中心だったが、物作りを追求することで価格も少しずつ上がり、現在は30代が中心で、客単価も7000円ほど高い2万円前後となった。21~22年秋冬物も手描きの線をもとにステッチしたチャイナカラーのキルティングジャケットや、グラデーションを波状に表現したセーターなど、デザイナー自身がわくわくする物作りに挑戦している。