パリ左岸の百貨店ル・ボン・マルシェは、新年恒例の現代アート展を1月9日から開く。これは同店創業者アリスティド・ブシコーが19世紀後半に発案した新年の寝具の販促「白い月」にちなむもの。現代アーティストに、白を基調にすることだけを条件にカルトブランシュ(白紙委任状)を渡し、店に展示する巨大な作品を依頼する。
今年は35歳のフランス人アーティスト、プリューヌ・ヌーリーによるアマゾンをテーマにした彫刻がショーウィンドーと本館中央吹き抜けの空間を美術館に変える。アマゾンは自身が体験した乳がんからの回復のメタファー。1800本以上の矢が乳がんに見立てた的に向かう。弓矢で体を守る。
「希望や創造力が病気から立ち上がる重要な鍵となる。それをこの作品で伝えたかった」とヌーリーは説明する。ボン・マルシェのアーティスティック&イメージディレクター、フレデリック・ボデヌさんは「私たちの願いは現代アートを通して本物の感動と発見をお贈りすること」と話した。
(パリ=松井孝予通信員)