【特集】大人レディス市場注目ブランド6選

2017/01/20 00:00 更新


■FRAY I.D フレイアイディー
(COMPANY:マッシュスタイルラボ)

日本の働く女性とともに、次のステージへ

徹底したクオリティーに高揚感を加えて

 

 マッシュスタイルラボのレディスブランド「フレイ アイディー」が、大きな変革に取り組んでいる。16 年は商品を基礎から鍛え直した。
次世代キャリア市場をリードしてきたブランドは、時代の変化をどう捉え、次のステージへ進むのか。

 

 「ニューモードキャリア」を掲げ、10 年にデビューしたフレイ アイディー。象徴的な異素材コンビのワンピースをはじめ、キャリア市場の新トレンドとして注目された。その後、かちっとしたスタイルから、カジュアル、ドレスアップまでさまざまなシーンで愛用されるブランドに成長。次世代キャリア市場自体も定着し、改めて「本物のものづくりが大切」と執行役員企画部長の楠神あさみさん。日本の働く女性のファッションの進化とともに、「カジュアルだけど品格があって女性らしさも楽しめる服、より良いクオリティーの服」が必要になってきたと感じている。

 

FotorCreated

 

 そこで16年は、キャリア服としての品質を徹底的に見直し、着心地の良い素材、女性を美しく見せるパターン技術などを再構築。歴史ある他社のキャリアブランドの品質をリスペクトしつつ、自分たちの表現を追求した。16年秋物展示会では、品質やものづくりの良さが伝わるベーシックな商品をぐっと増やし、ブランドの変革を印象付けた。

 

 「ブランドチーム皆の頭を一つに揃えてスタートしたかった。怖がらず、攻撃的なくらいにしっかりやらなければ、お客様にも伝わらない」という思いの表れだ。ウォッシャブル&ストレッチのジャケットにパンツ、白シャツといったベーシックラインも発売。シンプルだがどこかリラックス感のあるシルエットがフレイ アイディーらしく、店頭でも非常に好評という。

 

 こうした商品でベースを固めつつ、冬物はブランドの持つ楽しさや遊びを融合させた。バンダナ柄のロングスカートや強いイエローのアンゴラニットが売れるなど、デザインや色での高揚感が戻りつつある。さらに17年春夏へ、「自分たちが表現したいニューモードキャリア」が完成していく予定だ。

 

フレイアイディー

▲17年春コレクションでは、シアー感やツヤのある素材、ピンクやイエローの鮮やかなカラー、 オリエンタル刺繍などで女性らしさを表現した

FRAY I.D ルミネ新宿ルミネ2 TEL.03-6273-2071

 


■Mystrada マイストラーダ
(COMPANY:アルページュ)

女性を輝かせるのは「本当に着たい服」
素早い仮説・検証で2年目から急成長

 アルページュが15年春に立ち上げたレディスブランド「マイストラーダ」が、急成長している。大人の女性をより輝かせるきれいな色使いなど、これまでに「ありそうでなかった」商品で、独自のポジションを築きつつある。

 

 ヤング向けが得意な同社にとって、30 ~40 代向けのマイストラーダは新たな挑戦だった。実際にスタートして気づいたことの一つが価格。ターゲット層は価格にさほどシビアではないと考えていたが、ルミネ新宿店のように通行客数の多い店舗はお客の年齢も幅広く、価格にも幅が必要と分かった。

 

 そこで、手に取りやすい1 万1000 円のニットを投入。結果、入店客数が大きく伸び、ブランド認知もアップした。そのニットを魅力的なスタイリングで見せることでスカートも一緒に売れ、客単価につながっている。

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▲コーディネートしたときの全体のバランスを考え、サイズ感を微調整しながら商品1点1点を完成させる

 

 もう一つは色。当初、ベーシックな色を中心に揃えたが、実際はパープルなどきれいな色が売れている。「きれいな色で顔映りもいい薄手のニットって、意外に他の店にないんです」と野口麻衣子常務取締役。クリエイティブ発信と消費者ニーズのバランスは、ブランド開発に常につきまとう課題だが、「自分たちが本当に着たい服、ほしい服か」を大切な軸にしている。

 

 トラフィックが多い好立地に出店してきたため、仮説に対する検証、修正のスピードは早かった。結果、16 年は前年同期比80%増収ペースと大きく飛躍。シーズントレンドは取り入れつつも、「エレガンスでもなく、モードすぎてもいないテイストが受け入れられているのでは」。色んなファッションを経験した大人の女性がたどり着く、自然な女性らしさがそこにはある。

 

 ファッションビルと百貨店へ出店し、現在5店舗。ECも伸ばしている。出店は数よりも効率重視で、17年春は1、2店を計画する。ブランド表現のため、今後は店舗面積を広げていきたい考えだ。

 

マイストラーダ4

▲幅広い客層が訪れるルミネ新宿店

Mystrada Press Room TEL.03-6894-8612

■TONAL トーナル
(COMPANY: エムファースト)

新ジャケットで“こなれワーキングスタイル”
抜け感アイテムも加えセンシュアルに

 

 エムファーストのモード系キャリアブランド「トーナル」は17年春夏、女性らしい抜け感のある“こなれワーキングスタイル” を提案する。スタイリッシュかつ実用的なブラウスやパンツ、ジャケットが働く女性に支持され、ブランドのベースが固まってきたことでテイストやスタイリングの幅を広げる。

 

 今春夏はスカートやワンピースを打ち出す。以前はやや構築的なデザインが多かったが、女性らしさをプラスする。タイトスカートも、スリットを入れ、センシュアルに見せる。シャツやブラウスは、抜け感のある形にした。

 

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▲(左)ジャケットはシーンに合わせてスタイリングを変えても着回せる
   (右)スカートや抜け感のあるプルオーバーで、女性らしさを表現する

 

 ジャケットは、セットアップにするだけでなく、単品使いでも普段のオフィスファッションに溶け込み、着回しやすい。会議など必要なときにだけ羽織る“置きジャケット” のニーズにも応える。動きやすい、洗えるなどの使い勝手の良さ、きちんと感があるのに女性らしい色や形など、今っぽくアップデートされたジャケットスタイルを提案する。パターンは1年半をかけて改良した。素材・縫製とも国内で、2 万円という価格も魅力だ。

 

 新しい提案でブランドの鮮度をキープする一方、パンツなど定番的に売れるアイテムは常に店頭に揃える。「トーナルに行けばこれがある」という安心感も、働く女性たちの強い味方だ。

 

 今春は東京に2店出店し、計7店になる。20 年には15 店、売上高20億円を目指す。

 

「忙しい女性はまとめ買いも」

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片平葵 ルミネ有楽町店
ショップマネージャー

 

 お客様の買い物は本当に実用的です。育児中は汚れたらすぐに洗いたい、置きジャケットはシワになりにくいものをなど、リアルな理由があります。日々忙しい女性は、商品を気に入ればセットアップと一緒に形違いのパンツもと、まとめ買いもされます。そのため、品質の割に手ごろな価格も大切です。

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▲倍増ペースで売り上げを伸ばしているルミネ有楽町店

M-First co.,ltd TONAL D.I.V TEL.03-5464-2202

 

■SONO ソーノ
(COMPANY :ミラク)


ネット×リアルで30代ママに寄り添う
SNS時代を勝ち抜くための販促策とは


 ミラクのレディスブランド「ソーノ」は、SNS(交流サイト)と店頭イベントをうまく組み合わせた販促策でファンを増やしている。

 

 「大人が着られる可愛い服」として、30 代前半のママ層を中心に支持されているソーノ。人気のきっかけの一つがインスタグラムだった。公式アカウントからの発信に加え、インスタグラマーが画像をアップした商品が大ヒットするようになった。

 

 インスタでソーノを知った女性にももっと興味を持ってもらえるよう、SNSと並行してリアルイベントも行っている。16 年秋には、神奈川県・武蔵小杉にある同社の直営店で、顧客向けのスタイリングイベントを2 回開催。「知りたいことがあっても今は情報がありすぎて探すのも大変。『おなか周りをカバーしつつだぼっとしない格好は?』など、その場でずばっと聞けるイベントは、アナログだが手軽」と同社。スタイリストとのコラボレーション(協業)商品発売に合わせ、そのスタイリストを招いて開催したイベントも好評だった。

 

 イベントの様子は、SNSでも発信。消費者は、ネットの大量の情報の中から本当に信じられるものを取捨選択している。そのためブランド価値を守るには、「参加して楽しかったなど、生の声が飛び交うこと」が大切だ。こうした取り組みの成果として、以前なら「インスタで○○さんが着ているソーノがほしい」だった購買理由も、「ソーノのこの商品が可愛いからほしい」に変わってきた。

 

 17 年春以降も、直営店や百貨店でのイベントを企画している。売り場側と協力して、新しいお客を呼び合えるイベントを作っていくとともに、百貨店、専門店の取引先数も、さらに広げたい考えだ。

 

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▲スタイリストとコラボレーションした商品企画やイベントなどで常に新しい話題を発信する

 

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▲東京・原宿の本社オフィスでは 顧客向けに新作の試着イベントも開いた

 

女性の心を揺さぶるデザイン

 ブランドのファン作りは、商品力がベースにあってこそ。ソーノの服の魅力は、ぱっと見た瞬間に伝わる可愛さだ。異素材ドッキングなどでひねりを加えたフェミニンなデザインを持ち味とする。カットソーやブラウスの、動くとふわっと揺れる立体的なディテールは、シンプルなだけの服に飽きた女性の心をダイレクトに揺さぶる。店頭に変化を出すために、ソーノの元を訪ねる専門店もある。

 

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▲アイコン的なアイテムの一つである、異素材ドッキングのワンピース。
 フェミニンを軸に、ちょっとしたさじ加減で今っぽく見せる

Miluck co.,ltd SONO D.I.V TEL .03-5775-4655

■Ritmo Latino リトモラティーノ
(COMPANY : エビス)

デザイナーのひらめきで
大人の女性の可愛らしさを提案


 デザイナー・瀧川 林が手掛けたドームフェイス型リストウォッチとして知られる「リトモラティーノ」。ファーストインプレッションを忠実にデザインするスピリットは、エビスの手掛けるレディスウェアにも生かされている。


 『向上心の高い女性のマインドをくすぐる』をコンセプトに、トレンドを十分に意識しつつも、エッジの効いたコレクションを揃える。「良い物」を知っている世代の女性に満足してもらうにはデザインは勿論の事、細かいディティールへのこだわりも重要視する。


 河原由紀子デザイナーは「いつも心掛けている事は『未来の私へのメッセージ』。自身の向上心・好奇心に偽りなく正面から向き合い、デザインに反映する様にしています。」と話す。

 

「今は営業力でなく、商品力の時代。
デザイナーと徹底して 話をする」 
 

リトモラティーノ_小保内氏

 

「リトモラティーノ」マネージャー

小保内 嗣士
Keishi Obonai

 

 

 コンビを組む小保内嗣士マネージャーは、デザイナーと日々徹底して話しをしてコンセンサスを得ることを心がけている。「商品の個性と協調性は表裏一体の物。その中で無理に差別化を図ろうとすると自己満足で終わる事もあります。明確なコンセプトが理想の未来像だとすると、先ず自分を信じる事から物作りは始まると思います」と述べている。

 元々OEMメーカーであるエビスのノウハウを生かし生産チームとの連携の細やかさも武器の一つだ。ひらめきをそのまま形にするこだわりと経験がぶれない個性となっている。

 

リトモラティーノ

EBISU co.,ltd : 072-727-6393

 

■31 Sons de mode トランテアン ソン ドゥ モード
(COMPANY : HIROTA)


華やかなオリジナル生地で、女性をハッピーに

トランテアン ソン ドゥ モード_原氏

 

「トランテアン ソン ドゥ モード」 MD


原 大良氏
Daisuke Hara


 「トランテアン ソン ドゥ モード」の17年春コレクションは、オリジナルのプリント柄や刺繍など、華やかでハッピーなムードの商品を多く企画しました。元々、ほかのOLブランドに比べて、色や柄のつけ方に独自性があるのがトランテアンの魅力でした。しかし、最近のベーシックのトレンドにやや流れされていた反省もあったので、今回は改めてブランドの強みにフォーカスしています。


 レースのスカートは、立体的な花のモチーフを重ねて表情豊かに仕上げました。オリジナル生地は作る手間はかかりますが、差別化のためにはやはり重要。自社の生産背景も生かして、良い物が出来上がったと思います。肩周りのリボンやフリルといった得意のフェミニンディテールも、より大きくデコラティブに表現するのが今年は新鮮です。ポップなワッペン使いも多く、Gジャンやバッグをフレンチテイストのモチーフワッペンで飾っています。


 カラーにも注目しました。16~17年秋冬でもすでにカラー物の商品に反応が出ており、17年春はビビッドなレッドのスプリングコートや、グリーンのスカートなどを企画しました。どれかのアイテムで新しい色を取り入れつつ、スタイリング全体としては着やすさもある提案を行います。


 ターゲットは20代~30代前半の働く女性。彼女たちが、トランテアンのスウィートエレガンスな服を着ることで気分が“アガる”よう、毎シーズン新しいことに挑戦していきたいです。

 

トランテアン ソン ドゥ モード
▲ 17年春物は、デコラティブなデザインも多い

 



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