【特集】次世代キャリアの再定義

2017/01/20 00:00 更新


大人女子のホンネは?

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なぜ今、ジャケットが売れるのか?

 キャリア市場で、ジャケットが売れている。ただし、旧来型のオフィススタイルに逆戻りしているわけではない。着心地もデザインも堅苦しくなく、もっと自由におしゃれを楽しめるジャケットだ。そこから、今の働く女性が本当に着たい服が見えてくる。


 ここ十数年を振り返っても、働く女性のファッションは様変わりした。制服を採用する企業が減り、通勤着と仕事着の境い目がどんどん無くなっていった。業種によってはカジュアル化も進み、休日のようなファッションで仕事ができる企業も増えた。日中、仕事をしたそのままの格好で、夜は友人や恋人との約束に出かけて行く。働く環境の変化を背景に、こうした次世代キャリア層がレディス市場で大きな存在感を持つようになった。


 ジャケットやスーツのかっちりしたスタイルは、一部の固い職種の女性だけのものになってしまうかと思われた。しかしここへきて、「ジャケットが売れている」「17年春夏はジャケットの企画を強化する」というブランドが増えている。

 

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 次世代キャリア層も年数が経てば、仕事の内容も、接する相手も、自分のポジションも変わる。それに応じて、必要なファッションも変わるのは自然なこと。「ジャケットくらいは持っていないと」。でも、持っているのは入社時に買ったままクローゼットに眠っている、古い形のテーラードジャケット。今の自分のファッションには合わない。


 こうした女性のニーズの高まりに対して、各社がちゃんと「今っぽいジャケット」を提案できたことが、ジャケットが売れるという結果につながっている。まず一つは着心地。カジュアルな服装に慣れた女性は、今さら肩の凝る服には袖を通せない。ストレッチがきいた布帛やジャージーなど、コンフォータブルだが表面感がきれいで上品な素材の開発が進んだことは大きい。ウォッシャブルも外せないポイントだ。


 そしてもう一つは、ちゃんとおしゃれであること。「とりあえずジャケット羽織っておきました」ようにしか見えない商品なら要らない。普段のスタイリングにも違和感なく馴染んで、ジーンズに合わせれば休日も着回せるジャケットがほしい。結果、ノーカラーでVラインの形といった、使い勝手の良いデザインに人気が集中している。


 「着心地が楽でおしゃれでスタイル良く見えて着回しもできて家でも洗えて値段もあんまり高くなくて・・・」と女性の望みは際限がない。ジャケットに限らず、彼女たちのわがままを少しでも多く叶えるブランドこそが、競合激しいこの市場を生き残っていける。

表紙_撮影協力

 



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