「ケネスフィールド」スタイリングの継続性を重視
元ビームスプラスのディレクターだった、草野健一代表がデザインするメンズブランド「ケネスフィールド」(エー・シー・ケンフィールド、電話03・5670・7675)は、服の形はコロコロ変えない分、「着方をカスタムする」ことで、卸し先の専門店の支持を高めている。
スタートした12年秋冬物から、80年代後半~90年代前半のトラディショナルなスタイルを貫く。定番的なグレーのフランネルのセットアップ(上8万円、下3万8000円)はデビュー時から提案し続ける。「毎シーズン買い付けてくれる店があるのでそれに応える。決して安いものではないので、売りっぱなしにしたくない」との思いが強い。ベーシックなセットアップでも、シャツとネクタイなどVゾーンの合わせ方まで提案し、着方の変化をつけることでリピーター作りにも役立つ。
スタイリングの軸となるジャケットはラペル幅が広く、40年代のシカゴのテーラーリングをイメージした格子柄のインパクトが大きい。パンツにも側章が付く。主張の強いセットアップにはシャツとネクタイも「すべて派手にした方がまとまる」という。単品一つひとつの形はベーシックでも、素材や色・柄など「合わせ方次第で洋服の楽しさは広がる」と強調する。
毎シーズン、顧客のワードローブを生かすコーディネートの継続性を強く意識している。たとえば秋冬物のロングコートのライナー(別売り)は、あえてショートコートと合わせるとアクセントになり、スプリングコートにも着脱できるようにボタン穴がある。USアーミーの50年代調コートもジャケットの上から着るのを前提にしたフィッティングにする。
15年秋冬物は、80年代後半~90年代に日本で流行したフレンチシックがイメージ。ボルドーを差し色に、チェックのパンツやスカーフなどを組み合わせたコートスタイルなどを出す。靴は黒のエナメルを合わせる。表がグリーンのコードクロスで裏がボアのリバーシブルのデッキジャケットもある。15年秋冬物のカタログには、ライカ公認カメラマンの伊崎真一氏を起用し、撮影場所とともにビジュアルにこだわる。
現在、卸し先はビームスのほか、地方の個店など国内が20店。海外は立ち上げ当初から米国、イタリア、韓国の有力店など。3月には卸先が中国・上海に開く新店での販売も決まっている。3月25日から一週間、伊勢丹新宿本店メンズ館で期間限定ショップも開く。週末には自ら店頭に立ち、コーディネート提案する。札幌や京都などの個店向けにも、着こなし提案のイベントを開いている。