熊本地震 大型店、建物の確認進まず

2016/04/21 17:13 更新


 熊本市内では、路面専門店などで営業再開の動きが目立ち始める一方で、大型店の営業再開には見通しが立たない状況が続いている。中心部の停電はほぼ解消しているが、断水はブロックごとに入り組んで解消していない箇所が点在しており、生活再建や営業再開のネックとなっている。余震が収まらないうえ、建物の安全確認を行う人員の不足のため立ち入り制限が続く大型店が多い。営業を再開した専門店でも、避難生活を余儀なくされている従業員も多く、復興へのハードルはまだ高い。(青木修治、古川伸広)


 苦境にある中、取引先などからの励ましの電話や支援の申し出に感謝する声も多く聞かれた。

 通常は買い物客で賑わいが絶えない鶴屋百貨店周辺。近くの熊本パルコ、あうね熊本ともども休業が続き閑散とした状態になっている。鶴屋では比較的新しい東館、ニューズ館、ウイング館で遅くても大型連休前の営業再開を目指しているが、断水解消が条件になる。最も古い本館は専門家による建物の診断の結果、躯体(くたい)には問題がないとされたが、増改築を繰り返しているためにつなぎ目部分に問題がないかなど、「安全点検に相当の時間を要する可能性がある」(広報)。

 ファッションビルのあうね熊本、熊本パルコでも21日時点でも営業再開の見通しが立たない状況が続いている。

 一方、郊外はどうか。20日に核店舗イオン熊本店1階の食品やドラッグストアなどで部分営業を開始したイオンモール熊本。「品揃えは十分ではない」が、待ちわびた客が買い物に集まっている。店外ではイオンペットやスポーツオーソリティなどの仮設販売も。しかし、営業を再開したのは施設のほんの一部で、全館開業のめどは立っていない。専門店街側周辺は明かりもなく、人影もなかった。

 

駐車場にひび割れが走り、館内の安全確認が続くイオンモール熊本

 

 ゆめタウンはませんは外壁の崩落などで全館休業が続いている。施設はもとより敷地内にも入れず、周辺はひっそりとしたまま。郊外の道路は一部で隆起や陥没している箇所が見られ、改修工事による渋滞で来店したくても出来ない環境もある。広域から集客する郊外SCにとって、以前のような賑わいを取り戻すにはかなりの時間がかかりそうだ。

 シャワー通りにあるメンズセレクトショップのアナンでは、壁にひび割れが入りガラス棚が割れた。店内の清掃を終えて19日から営業を再開したが、インポート中心の品揃えなので「売れるとは思っていない」。「服を買うことが不謹慎」との雰囲気も感じるという。しかし、ファッションストリートとして、「店を開けて、通りにも社員にも元気が出れば」との思いだ。

 同じくシャワー通りのレディスセレクトショップのバルカン。被害は比較的軽微で、20日から水が使えるようになり営業が再開できる状態に。しかし、「周辺やお客さんの様子を見て再開時期を思案中」という。近くで営業を再開したラーメン店が、一部の客に「こんな時に、お金を取って商売していいのか」とクレームを受けたと聞いたから。「お客が買い物を楽しめる雰囲気に早くなってほしい」というのが切実な願いだ。

通常はおしゃれな店内だが、、顧客からの支援物資が山積みに(アナン)
通常はおしゃれな店内だが、、顧客からの支援物資が山積みに(アナン)


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