韓国のストリート系「キルシー」 原宿旗艦店を軸に日本での事業を加速

2023/09/12 07:58 更新


売れ筋のニットシリーズ。猛暑でも買い求める客が多いという

 韓国「キルシー」(ハイライトブランズ)は日本でのビジネスを加速する。15年デビューの、チェリーのロゴがアイコンのストリート系ブランド。韓国の芸能人の影響もあり、本国のみならず日本の10~20代にも人気だ。今年、日本法人を設立し、7月末には東京・原宿に日本1号店となる旗艦店を開いた。

(関麻生衣)

チェリーロゴに期待

 ハイライトブランズ(イ・ジュングォン代表)は19年にソウルで設立。韓国の若者の間で話題の「コダックアパレル」のほか、「マルボンゴルフ」のライセンス販売などをする。キルシーを21年11月に子会社として買収。今年5月に日本法人のハイライトブランズジャパン(小森優敏代表)を立ち上げた。

 キルシーは日本では以前から卸販売や協業で認知を広げてきた。今後は、ハイライトブランズジャパンが原宿の旗艦店と公式ECを運営。来年以降は百貨店やSCに期間限定店を出し、常設店も視野に入れる。中期的には国内の卸販売も予定する。

 日本での出店は19年ごろからにらんでいたが、本国で試行錯誤していた。コロナ禍が明け「日本に韓国のファッションブランドがぐいぐい出ている」(小森代表)今、商機があるとした。韓国カルチャーが好きな層には王道のブランドだが「チェリーのロゴは知っていても名前を知らない人もおり、まだ浸透しきれていない」という。

 重視するのは実店舗だ。オンライン上では十分に表現できないブランドの世界を見せる。リアルでの販売は、ブランドの商品を扱うセレクトショップが出店する商業施設でも「キルシーは売れるとの声」など手応えを得ている。

 原宿の旗艦店はストリート系のブランドが軒を連ねる裏原宿にある。老舗もあるなかで「ブランド負けする」懸念はあったが、「旬な韓国ファッションブランドの店が少しずつ集まって」おり、「売れる」と踏んだ。初年度(23年5~12月)は年商約1億4000万円、2年目(24年1~12月)はEC売上高も含めて約2億2000万円を目指す。店頭では10代の客も目立ち、春夏物服で平均5000~6000円に対して客単価は1万円前後。

原宿に開いた旗艦店の売り場面積は66平方メートルほど
通常の商品に加えデザイン性をより高めた「コレクションライン」やバッグやシューズ、コスメも販売

韓国アイドルの影響力

 認知向上には、強みのSNSマーケティングを生かす。貢献するのは、韓国の芸能人の影響力。原宿店ではオープン初日、ガールズグループのアイズワンの元メンバー3人が店舗でプロモーション撮影し、その様子を店の外から見られるイベントで盛り上がった。告知はブランドや3人のインスタグラムでした。この時クォン・ウンビさんが着用したニットトップが売れ筋になっている。

 本国では今年、アンバサダーにガールズグループ、ルセラフィムのホン・ウンチェさんを起用し、売上高は従来以上に伸びているという。好調を受け、韓国の直営店を現在の27店から年内に45店まで増やす計画だ。

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