「キコ・コスタディノフ」は、22年春夏メンズコレクションの画像を配信した。プレスリリースによると「ディスプレースメント(強制的な立ち退きや紛争・災害などによるやむを得ない避難)とディアスポラ(民族離散)に関する内省的な考察が一貫したテーマ」という。撮影されたのはシャッターが閉じたマーケットのような空間。そこにコスタディノフらしいディテールや配色にこだわったストリートスタイルが登場する。
大きく襟ぐりを空けたトップは、ヘムが三角に揺れるようなグラフィカルディテール。葉脈のような透け感のセットアップもグラフィカルに切り替えがされる。切り替えや配色の変化で服の立体感を作るのはコスタディノフの得意とするところ。今回は、イタリア人画家ジャコモ・バッラやブルガリア人画家ニコライ・ディルゲロフの作品からイメージして、グラフィックやジオメトリックなパターンメークに取り入れた。ディルゲロフの陶芸に見られる黄色系の色彩とともに、ディテールの随所にブルガリアのフォークロアも散りばめた。
(小笠原拓郎)