ヴァージル・アブロー、シカゴで初の回顧展(杉本佳子)

2019/06/28 15:00 更新


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ヴァージル・アブローの初の展覧会「ヴァージル・アブロー フィギュアズ・オブ・スピーチ」が、シカゴ美術館で開催されている。ヴァージルはシカゴで、ガーナから移住してきた両親に育てられた。20年のキャリアを振り返る初の展覧会の場に、シカゴを選んだのはそのためだ。

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チケットは日にちと時間が指定されている。シカゴ近代美術館が時間指定のチケットを発行する展覧会はこれが2回目で、人気のほどが伺える。

 

シカゴ近代美術館の正面の階段の途中には、ところどころに蛍光黄緑のクッションが置かれ、ゆったりとくつろいでいる人が多い。ドアには、銃のイラストにバッテンがつけられた銃持ち込み禁止のサイン。「さすがシカゴ!?」と思った。

 

来場者をまず迎えるのは、2012年にヴァージルが立ち上げた最初のファッションブランド「パレックスビジョン」の発足時のプロモーションビデオだ。当時新進だったラップグループのエイサップ・モブが出演している。モニターの傍らに無造作に積まれた紙箱には、「VIRGIL ABLOH’S SELECTED GRAPHIC WORKS (2010-2011)」と書かれている。

 

服と小物は、青に塗られたインダストリアルかつポップなラックに収められている。パリのコレットが2008年に買い付けたTシャツ、カニエ・ウエストのアーティスティックディレクター時代に手掛けたTシャツ、ダイアナ妃からインスパイされたオフホワイトのジャケットとサイクリングショーツとネックレスなど、ストリートとハイファッションの間を行ったり来たりしながらものづくりをしてきた軌跡の一部を垣間見れる。子供の頃に紙クリップをつなげてつくったアクセサリーを、ダイアモンドとゴールドで作り直したブレスレットと指輪もある。


 音楽関係の部屋には、オーディオエンジニアと組んでつくったスピーカーがある。国連のエンブレムを印刷して国連から廃棄を要求されたDJフライヤーは無造作に積み重ね、国連からのクレーム状も一緒に展示した。

 

アフリカ系アメリカ人に関連したメッセージを集結した部屋の床には、ブルーの梯子を置いている。ファッション業界のトップに、アフリカ系アメリカ人が上り詰める難しさを示唆しているのだ。2019年春夏のルイヴィトンメンズで使われたキャンペーンイメージでは、3歳の男の子を起用。有色人種の子供は将来のラグジュアリーの中心を担うだろうという、ヴァージルの信念を表している。


 ナイキとヴァージルによるスニーカーのリデザインプロジェクト「ザ・テン」の創作過程でリリースされなかったサンプルたち。

 

展覧会場に併設したポップアップストア「チャーチ&ステート」。この店もチケットがないと入れず、入場制限がある。

 

多くの商品はこの展覧会のためにつくられた。カタログ以外はこの場でしか手に入らないし、返金・返品も受け付けない。服は一番安いTシャツで67ドル。高いTシャツは150ドルくらいする。

この展覧会は9月22日までシカゴ近代美術館で行われ、その後はアトランタ、ボストンに移動し、ニューヨークのブルックリン美術館で2020年冬から2021年春にかけて開催される。

(写真は、外観とスピーカーは杉本写す。他はNathan Keay, © MCA Chicago)


89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ

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