【調査】中小企業の事業承継 困難な状況が続く

2020/01/31 06:25 更新


 日本政策金融公庫総合研究所は中小企業の事業承継に関するインターネットによるアンケート調査結果を公表した。それによると、後継者が決まっていない企業や自分の代で廃業を予定する企業が依然多いことが改めて明らかになった。

 調査は15年に続くもので、昨年10月に全国の中小企業(従業員数299人以下の企業。農林漁業、不動産賃貸業など一部業種を除く)を対象に実施した。有効回答数は4759件。

 調査結果によると、後継者が決定し、後継者本人も承諾している「決定企業」は全体の12.5%にとどまり、後継者が決まっていない「未定企業」が22%、「廃業予定企業」が52.6%だった。15年の調査と比べて、決定企業の割合はほぼ横ばいで、廃業予定企業は2.6ポイント増えた。業種別では製造業で決定企業13.2%、未定企業27.5%、廃業予定企業49.2%、卸売業で決定企業20.3%、未定企業23.3%、廃業予定企業43.6%、小売業で決定企業9.7%、未定企業22.8%、廃業予定企業56.5%だった。

 廃業予定企業のうち、従業員数1~4人の企業が83.3%を占め、小規模事業者を取り巻く経営環境の厳しさが浮き彫りになった。廃業予定企業の廃業理由は「そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない」との回答が43.2%で最も高かった。一方で、「子供に継ぐ意思がない」「適当な後継者が見つからない」など後継者難を理由とする回答が29%を占めた。また、未定企業のうち、「現在売却を具体的に検討している」が4.5%、「事業を継続させるためなら売却してもよい」が45.5%を占め、事業売却に前向きな企業が多いこともわかった。



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