コスメ・美容の総合サイト「アットコスメ」を運営するアイスタイルは、米国アマゾンと三井物産それぞれと業務資本提携した。アマゾンは、アイスタイルが発行する転換社債型新株予約権付社債の25億円と、新株予約権115億円を引き受け、転換後アイスタイル株式の36.95%を取得し筆頭株主となる。またアイスタイルは三井物産から15億円、トリプルフォー投資事業組合からも10億円を、新株予約権付社債により調達する。
オンラインストア
アイスタイルは今回の提携に基づいた協業の一つとして、アマゾンジャパンで「アットコスメ・ショッピング」(仮称)のオンラインストアをオープンする予定。時期は未定だが出展ブランドの意向を確認し、「早い段階でサービスを提供したい」(アイスタイル)。同ストアを起点に、オンラインおよびオフラインの各種施策による連携なども検討する。
アイスタイルは「アマゾンジャパンが日本国内で販売事業者向けに提供している各種サービスやテクノロジーと、アイスタイルが展開するコスメ・美容に特化した口コミ、品揃え、店舗づくりの知見を活用し、コスメ・美容関連の購買における利便性や顧客満足度をさらに向上する」方針だ。
パートナーを発掘
三井物産との提携では、国内外での三井物産のネットワークを生かし、アイスタイルの海外事業におけるパートナーの発掘や紹介、関連したマクロデータの提供を行う。また、国内流通事業における店舗開発や課題解決のサポートなどの共同事業を検討・開発する。
三井物産は同社流通事業本部ブランド&リテール事業部からアイスタイルに対して最大2人の出向者派遣を予定。「コスメ業界におけるさらなる業界インサイダー化や、ネットワーク強化を進める」(三井物産)としており、国内外の有力化粧品ブランドとの提携やM&A(企業の合併・買収)など、関係会社を通じて新規の事業開発を進める。「今後、アイスタイルの経営陣とも協議の上、香港を中心とした東アジアや、インドネシアなどの東南アジアでの当社の戦略的パートナーらと、アイスタイルの提携を模索する」方針。現地パートナーをフランチャイジーとする事業などを検討する。
アイスタイルの吉松徹郎代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)は「化粧品市場が大きく変化していく中、総合オンラインストアを運営し、優れた購買体験を提供するアマゾンジャパンとの協業によって、生活者の一層の満足度向上を図ると同時に、各化粧品ブランドにも更なる価値を提供し、生活者とブランドの新たな出合いを創出する。また、国内外に幅広いネットワークを持つ三井物産との提携は、将来的な国内外における様々な共同事業における可能性がある。
イノベーションを
アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「ECやテクノロジーにおける当社の知見・経験と、コスメ・美容に関する情報サイトや実店舗の運営においてアイスタイルが培ってきたノウハウなどを生かした協業により、コスメ・美容関連の購買においてイノベーションをもたらし、利便性やお客様の満足度を高める」考えだ。
三井物産の長田務執行役員流通事業本部長は「アイスタイルと共に『生活者中心の市場の創造』を国内だけではなく、グローバルな世界を舞台に展開することを目指す。アイスタイルの消費者データおよび事業基盤と、三井物産の国内外ネットワークで、ネットとリアルを融合した新たな価値を創造する」としている。