原宿の路面店のインバウンド対策①

2016/04/30 06:39 更新


きめ細かなデータ分析、品揃えに反映

ユナイテッドアローズ原宿本店メンズ館 西村卓哉店長 

 

 昨年10月の改装で、20~30代に向けた「ユナイテッドアローズ&サンズ」のカテゴリーを拡充し、売り場もそれまでの地下1階から地上1階まで広げた。もくろみ通り、若い客層を中心に入店客数も増えたが、同時にインバウンド客の来店、買い上げが目立つようになった。

 

 西村さんがインバウンド客の勢いを改めて認識したのは2月。アジアで人気の俳優・歌手エディソン・チャン氏が参画するブランドとのコラボレーション商品を販売したところ、「香港や台湾、中国からファンが大挙して店に押し寄せた」という。こうした客は「総じて日本のデザイナーブランドについても詳しい」。

 

 

 昨年から週報に外国人客の動向を細かく記載するようにしていたが、「もっときめ細かく分析すれば、売り上げ増につながる仕掛けが打てる」と考えた。中国、韓国、台湾、香港などアジア圏内でも、国・地域ごとに現地の休日や来店した際の買い回り動向のデータを取るようになった。

 

 毎朝、朝礼時にスタッフ全員で英会話トレーニングをし、接客の中で使えるフレーズを重点的に覚えるようにした。別注商品など目的買いの客に接する際は「こちらも限定商品ですよ」と言い添えるよう徹底し、服装から好みを見極め、コーディネート提案を行うようにもした。

 

 1~3月の免税売上高が前年同期比で3倍増となった。西村さんは「まだ月間売上高の1割弱。もっと伸ばせる」と見る。4月からは国・地域別に客数や購買履歴、好みなどさらに細かくデータを取り、地域ごとのニーズを把握、「&サンズ」のオリジナル商品の企画に反映する取り組みにも着手した。

 

 来店時のアプローチをもっと工夫する必要性も感じている。言葉の壁もあり「接客が受身になりがち。待つのではなく、こちらから臆することなく積極的に話しかけていくべき」。日本人スタッフの語学力アップに加え、日本で暮らす中国や韓国の人たちをアルバイトで採用することも検討しているという。

(2015/7/6付 19272号)



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