中国の華峰集団が米デュポンのPTT「ソロナ」事業を買収 バイオベース原料で成長へ

2022/06/06 06:29 更新


 華峰スパンデックスなどで知られる中国の化学メーカー、華峰集団(浙江省瑞安市)は6月1日、米デュポンのPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)ポリマー「ソロナ」事業とバイオベース原料の1.3プロパンジオール(PDO)事業を買収した。バイオベース材料を傘下に収め、サステイナブル(持続可能な)での成長機会を取り込む狙い。

 米デュポン・バイオマテリアルズの事業と工場を華峰集団が買収し、新たにコンベーション・バイオマテリアルズ(デラウェア州ニュアーク)を発足した。買収額は明らかにしていないが、華峰集団として過去最大の海外M&A(企業の合併・買収)という。

 対象事業はPTTポリマーのソロナと、その原料の100%バイオベースPDO及びPDOの化粧品向けブランド「Zemea」(ゼメア)、ポリウレタンやインクといった工業用途のPDOブランド「サステラ」。いずれも製造工場を含み、ソロナはノースカロライナ州、PDOはテネシー州の工場で生産している。

 ソロナは弾力性やストレッチ性が特徴の繊維向けが主で、カーペットや衣料品、中わたといった用途で日本を含むグローバルに使われている。バイオベース原料を使った環境配慮素材としても注目が高まっている。

 華峰集団副社長でコンベーション・バイオマテリアルズ会長の尤飛鋒氏は買収の狙いについて「グリーン産業や高付加価値のサプライチェーンを構築し、華峰の既存事業とのシナジーを追求する」としている。

 華峰集団はスパンデックスやポリウレタン原料、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、アジピン酸、ナイロンなどポリウレタン系を中心に幅広い素材を製造する。金属、金融、物流などの子会社を持ち、21年12月期の業績は売上高283億元、純利益79億元。グループの従業員数は1万4000人。



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