北陸産地企業、人材確保へ策いろいろ 映画やCMで認知アップ

2024/06/21 07:58 更新


若い世代をターゲットに関心を呼ぶ策を工夫(丸井織物の映画『織りなせ』)

 化合繊テキスタイルを主力とする北陸産地企業が、人手不足解消へ様々な策を講じている。映画やテレビCMで認知アップを進めているほか、産業の地位向上を目指した新しい工場なども計画する。

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 繊研新聞社が北陸産地企業を対象に行ったアンケート(複数回答)で、産地が直面する課題として18社中11社(61.1%)が「現場の人手不足」を挙げ、「コスト増」(15社)に次ぐ2位だった。「人材不足で管理職やリーダーの育成ができずに現場オペレーターとして拘束され、生産性や品質を上げられない悪循環に陥っている」(染色加工業)といった深刻な声が聞かれる。

 こうしたなか、人材確保に向けた積極的な動きも始まっている。丸井織物(石川県中能登町)は新卒採用の強化を目的に今年、映画『織りなせ』を制作した。新人2人が織物工場での日常を通じて成長する姿を追うストーリー。「企業パンフレットを充実させても目を通してもらえない。世代が近い出演者を通して共感してもらいたい」と企画、5月から映画告知やワンシーンを使った企業CMを地元局で放送している。

 サカイオーベックス(福井市)も5月から地元の民放テレビ2局で企業CMを開始した。就活生や家族などに認知してもらうことで人材確保に役立てたい考えで、今いる従業員のモチベーション向上にもつながっているという。

 カジグループ(金沢市)は来春本格オープンの新工場に緑地公園やショップ、レストランを併設し、物作りと観光を兼ねた拠点とする。フェスやフリーマーケットなども開き、人が集まる場を創出することで繊維産業で働きたいという次の世代を育てていく構えだ。



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